糖尿病やがん、高血圧などの生活習慣病は死亡者数の実に6割、医療費でも3割を占め、超高利化社会においてその予防を行うことは喫緊の課題になっています。
かつては成人病とも言われていましたが、生活習慣との関連が明らかになり、現在では生活習慣病と定義されているのです。
平成20年度にはメタボリックシンドロームを中心に特定検診がスタートし、率先して自らの健康状態を把握し管理改善に向けた関心が高まりを見せています。
食習慣や肥満、喫煙や飲酒と言った健康問題に直結しやすい生活習慣に着目し、生活習慣病にならないための、予防策を検討して行きましょう。

食習慣との関連が明らかな疾病

インスリン注射 生活習慣病とは、食習慣や運動習慣・喫煙・飲酒等の生活習慣が、その発症や進行に関与する疾患を総称したものです。
日常生活の中で生きるための糧を得るのが食事です。
食事を通して生命活動を維持していくため、その内容は身体の健康状態に大きな影響を与えます。
特に偏った食事メニューを恒常的に続けている方は、身体の内部の代謝に問題を抱えていることが珍しくありません。
このような食習慣との関連が色濃く関与しているのが糖尿病です。

糖尿病とは血糖値をコントロールするインスリンの分泌量が低下する、またはインスリンの効果が十分発揮されない結果、高血糖の状態が慢性的に継続する状態を指します。
血糖はもちろん身体のあらゆる細胞のエネルギー源であって、生命維持に不可欠なことは確かです。
しかし高血糖の状態が続くと全身の末梢血管がダメージを被り、進行するにともない様々な合併症を引き起こします。
しかも糖尿病は相当進行しない限り、喉の渇きや頻尿、体重減少などの自覚症状が出現することはありません。
検診で異常を指摘されて始めて糖尿病の診断を受けることも珍しくないのです。

特に日本人はインスリンの分泌能が低く、糖尿病に罹患しやすい傾向が強いとされています。
そのため日頃からの食習慣に気をつけることが肝要です。問題となるのは急激な血糖値の上昇にあります。

そこで食事の際には、始めに食物繊維が豊富な野菜の副菜やサラダ類から箸をつけるように気をつけましょう。
もちろん和菓子などのスイーツには糖分が豊富ですが、白米に含まれる炭水化物は体内で糖分に代謝されます。
したがって白米の摂取量にも気をつける姿勢が必要です。
熱量は魚肉や脂肪分などからバランスよく取り入れることが大切です。

運動習慣との関連が明らかな疾病

ジョギングする女性 生活習慣病は運動習慣とも密接な関連性を持っています。人間は生命活動を維持するだけでも相当な熱量を消費します。
ただ呼吸をするにしても、気道を経由して空気を肺に取り入れ換気を行う必要があります。
このプロセスひとつをとっても口から咽頭・上気道・気管支を通じて肺、さらに横隔膜の挙動に至るまで様々な器官が動作しなければ、呼吸ひとつも円滑に行えないのです。
このように人体には多くの基礎代謝だけでも多くの熱量を消費します。

しかしこの基礎代謝は加齢で減少するばかりでなく、運動不足などの運動習慣が原因で肥満になる傾向が現代社会では強まっています。
肥満はよけいな肉が付くことで審美上の問題になるだけでなく、特に内臓脂肪の蓄積は脂質異常や高血圧などの原因にもなるリスクを高める要因になるのです。
さらに肥満度が高まるにつれて、就寝中の呼吸障害をきたしやすく突然死の可能性すら指摘されています。

もちろん熱量消費のために運動を取り入れれば、糖分や脂肪分などがエネルギーに消費されていき、肥満になるのを未然に防止することが出来るでしょう。
しかし運動だけで肥満の予防や解消を達成するのは簡単なことではありません。
そのためには入ってくるエネルギー量を減らすことが前提になります。
しかし極端な炭水化物の制限は、脳の活動維持の為の糖分の重要性にかんがみると望ましいものではありません。
1日あたり60%ほどは炭水化物を通じ、糖分を摂取するのが望ましいです。

運動は身体に負担が強くない有酸素運動が無理が無く、効果的です。
週3~6回ほどで1回あたり30分程度のウォーキングや水中歩行は、筋肉量も増やし基礎代謝をあげるので、より効率的にエネルギー消費をしやすい身体条件へと変化してくれます。

喫煙との関連が明らかな疾病

煙草にはニコチンやタール、一酸化炭素などに始まり、数千種類に及ぶ化学物質が含まれ、明らかな発ガン性を有する物質も含まれていることが明らかになっています。
ニコチンには中毒性があり、喫煙しないと精神的にイライラするなどの症状に見舞われることが、より強い習慣性の獲得と言った悪条件につながっているのです。
喫煙習慣は日々、複数の種類の発がん物質を吸入し続けることが実体である以上、肺がんなどを引き起こす主な原因と考えられています。

しかも喫煙は肺だけでなく、口腔や咽頭などの口腔及びその付属器官や、食道や膵臓などの消化器官等に発生するがん患者において、喫煙習慣が発症のリスクを高めるとされているのです。
もちろんがんの発症メカニズムにおいて喫煙がどの程度、悪影響を与えているのかが必ずしも明らかになっているわけではありませんが、そのリスクを高める傾向があることは疫学的に明らかになっている訳です。

さらに喫煙すると、血管が収縮することも知られています。
血管が収縮すると血管が細くなり、血液循環量を増やそうとして、血圧が上昇します。
このことから喫煙は高血圧の原因にもなっています。
血圧が高い状態が継続すると血管の内壁にダメージを与え、動脈硬化の悪化要因に作用するのも忘れてはならないでしょう。
動脈硬化は血餅が作りだされやすくなり、血栓が生じて、心臓の冠動脈を詰まらせれば心筋梗塞、脳の血管に詰まれば脳梗塞の原因にもなります。

このように喫煙は、かつて成人病の範疇で括られた多くの生活習慣病の発症リスクを高める点で、看過できない性質を持っていいるのです。
生活習慣病を予防する上では禁煙は必須と言えます。
ニコチンへの依存性が高く自力で止められない場合は、ニコチンパッチなどを活用するのが賢明です。

飲酒と関連が明らかな疾病

生活習慣病との関連で飲酒が大きな意味を持つのは、アルコール摂取の問題です。
アルコールは肝臓で代謝されて、最終的に水と二酸化炭素、酢酸へと無害化されていきます。
しかしこのアルコールを分解する過程ではアセトアルデヒドなどの人体への有毒物質が生成されます。
肝臓は人体の化学工場と呼ばれることもあるように、このような毒性のある物質も無害化する機能を持っています。
無害化の工程では肝細胞はダメージを被ります。

尤も、肝臓はそのサイズ自体が大きい器官だけでなく、再生能力も旺盛なので少々ダメージを被っても自己再生能力を発揮するので問題にはなりません。
しかし長年、大量の飲酒を繰り返しているうちに、肝細胞の破壊と再生が繰り返されていく中で、やがては健康な肝細胞は硬い繊維細胞へと置き換わっていきます。
ところが肝機能障害を生じていても、自覚症状が乏しいと言う特性を持っています。
そこでさらに飲酒習慣を継続すると、繊維細胞が肝臓の大部分を占めることになり、最終的には肝硬変や肝細胞がんの発症につながります。

特にアルコール度数の高い洋酒などを好んで口にする方には、口の中や喉・食道などがアルコールの影響でただれて、これらの部位のがんも発症しやすくなるとされています。
特に飲酒すると顔が赤くなる体質の場合にリスクが高いとされているのです。

またアルコールには陶酔感を味わうことから分かるように、脳にも影響を与えます。
長期間にわたり大量の飲酒を続けていると、脳が萎縮してしまうことも研究で明らかにされている訳です。
最終的には物忘れや思考能力の低下が現れ、認知症を発症することもあります。
アルツハイマー型認知症と診断されていても、実はアルコールによる認知症の場合も珍しくないのです。

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